カテゴリ:アート( 12 )

ABC group


昨日は去年の暮れに6年振りに再開したマキシムとナターシャを連れてベルリンのヴェディング地区にあるeboyのアトリエ兼事務所へ。

モスクワ出身の彼ら。Art Business Consulting group(Maxim Iliukhin, Natasha Struchkova, Mike Kosolapov) として活動しているアーティストである。ナターシャは数年前からピクセル画を描き始めた。4ミリ四方のピクセルをアクリルで描いていくのだから相当なものである。展覧会に訪れる人たちは「手描き?まさか!プリントなんじゃないか?」と至近距離でマジマジと凝視するのだそうだ。「ナターシャ、eboyを知ってる?」というのもこれまでの常套句。それじゃあ、会ってみたら?ということになり、何度か日本のクライアントとの仕事で顔見知りだったことから、彼らと一緒に会いに行く事になった。

プライベートで足を運ぶのは初めてだったが、いつも通り肩肘張らない雰囲気が心地よい。おまけに今回はおっぱい星人も同行しての再会となった。「ベビ9ヶ月だっけ?」「まだ3ヶ月だよー。」とか。

仕事ではないので気楽ではあったが、逆に実り多き対面になることを願う気持ちが出て来るから不思議。もちろん通訳もなし・笑

今回の訪問で改めてマキシムとナターシャの現在の活動を知る事が出来た。
話の中で出て来た絵画についていくつか。

ナターシャ曰く、eboyのピクセルグラフィックに出会い、ピクセル画に着手したのだとか。
ただ、そこにロシア人が見れば誰でも知っているモチーフを取り入れることにしたのだそうだ。
例えばこちら。

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futurussia#4 (2004)

右下には日本でも近年人気のキャラクター、チェブラーシュカが。そして画面を大きく占めている日本の足と赤いアコーディオンにお気付きの方もいるはず。こちらは同じく「チェブラーシュカ」に登場するワニのゲーナである。ゲーナの足に貼り付いているのはロシアの人気アニメ「Ну, Погоди!(ヌ・パガディ!:今に見てろよ!)」の主人公のオオカミ。

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futurussia#5 (2004)

上の画面中央に立っている銅像はZurab Tsereteliによるロシア軍300周年を記念するピョートル大帝の銅像だそうだ。この銅像、初めはコロンブスだったんだとか。作者はそれをアメリカ政府に売りたかったのだが断られ、その後ピョートルにすり替えたものをロシア政府が購入、ペテルブルク市はしかし設置を拒否し、最後にモスクワの今の場所に落ち着いたのだとか。

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http://www.tsereteli.ru/より

この曰く付きの銅像をまさに飲み込まんとばかり口をぱっくり開けている魚はロシアの昔話に登場する魚なのだそうだ。リプトンの広告塔が大きく屋根に掲げられている建物はモスクワ川沿いにある芸術センターである。芸術センターの文字がリプトンの広告に完全に負けてしまっている。

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#19 legopaint (2009)

こちらの絵のモデルになっているモチーフは下のヴィクトル・ミハイロヴィチ・ヴァスネツォフ(Виктор Михайлович Васнецов)の「3人の勇士」である。

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Wikipediaより

そしてこちら。チョコレートのパッケージにもなっているロシア人なら誰でも知ってるシリーズ。

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#20 legopaint (2009)

モデルになっている絵はイヴァン・イヴァノビッチ・シーシキン(Иван Иванович Шишкин)の「松林の朝」である。

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Wikipediaより

シーシキンのこの絵は随分前にトレチャコフ美術館で観て印象深かったのを覚えている。

ナターシャの一連の作品はこちらのリンクでもどうぞ。

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by zaichik49 | 2010-01-07 04:40 | アート

素敵な恋


この人(Shinsaku Hidakaさん)のアニメ、初めて観たBoNES同様、とても良い。



几帳面なネズミの恋の対象がチーズとは。
何とも素敵な設定である。

3話まであるので是非、ご覧あれ。

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by zaichik49 | 2009-11-17 02:17 | アート

Hamburger Bahnhof / ベルリン 2


前回の続き。

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Carsten Höller
L'Ombre, 1997
Staatliche Museen zu Berlin, Nationalgalerie
2009 erworben durch die Stiftung des Vereins der Freunde der Nationalgalerie für zeitgenössische Kunst
「影」というタイトルの作品。こんな解説をネット上で見つけたので参考までに。↓
Let's not forget that in L'Ombre , back in 1997, Höller trapped his own shadow, together with Maurizio Cattelan's, in a cooking pot that was then permanently sealed by his galerist.

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Paul McCarthy
Michael Jackson and Bubbles (Gold), 1997-1999
Friedrich Christian Flick Collection im Hamburger Bahnhof

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Paul McCarthy
Michael Jackson Fucked Up (Big Head), 2002
Friedrich Christian Flick Collection im Hamburger Bahnhof
この2作品、暗示的なメーッセージが含まれているようでちょっと怖かった。

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Rodney Graham
Torqued Chandelier, 2004
35mm Film, Loop, 5 min
Friedrich Christian Flick Collection im Hamburger Bahnhof
シャンデリアがかなりのスピードでくるくる回るループ映像。

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Dieter Roth / Björn Roth / Oddur Roth
Gartenskulptur, 1968 ff.
Staatliche Museen zu Berlin, Nationalgalerie
2008 Schenkung der Friedrich Christian Flick Collection

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 ながーい廊下とEXITのサイン。

このRieckhallenというホールだけ観るのに既に1時間ほどかかる。地下の展示は今回はパス。
メインホールにもまだまだ展示スペースがあるのだが、今回はヨゼフ・ボイスの作品をちらっと観るだけにしておいた。

ヨゼフ・ボイスの作品は常設展で何度も目にしていたが、今回は初めて観る物も何点かあった。

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Joseph Beuys
Paar, 1952/1953
Privatsammlung

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Pt Co Fe Platin Cobalt Eisen
[Pt Co Fe], 1948-1973
Privatsammlung

今回もなかなか見応えのある展示内容だった。
毎回、広過ぎて展示全てを観て回ることが出来ないのだが、それはそれで良いのではないかと思っている。

それでは、今日はこの辺で。

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by zaichik49 | 2009-09-18 00:09 | アート

Hamburger Bahnhof / ベルリン 1


9月17日。秋晴れのとても気持ちの良い1日。

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今日も目が早く覚めたので午前中に近所のハンブルガー・バーンホーフ(ハンブルク駅)現代美術館に足を運ぶことにした。昔の駅舎を利用しているため、このような名前が付けられている。

奥の展示スペースRieckhallenに行く通路が地下鉄の駅構内のようになっていた。どうやらこれも作品らしい。

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Robert Kusmirowski
Transition, 2009
Leihgabe des Künstlers

ところで、美術館に平日の午前中に行ったのは初めてかもしれない。
開館時間の10時を少ししか回っていないこともあり、ほぼ貸し切り状態でゆっくり見て回ることができた。

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Marsel Broodthaers
Un jardin d'hiver, 1974
Friedrich Christian Flick Collection im Hamburger Bahnhof

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Archipelago, 1993
Staatliche Museen zu Berlin, Nationalgalerie
2008 Schenkung der Friedrich Christian Flick Collection

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Rodney Graham
Jokes / Case Histories, 1988
Friedrich Christian Flick Collection im Hamburger Bahnhof
よく見ると、フロイトの本が挟まっている。

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Duane Hanson
Lady with Shopping Bags, 1972
Friedrich Christian Flick Collection im Hamburger Bahnhof
先を歩いていた母が笑っていたので、「どうしたの?」と。
これ、右側の女性が作品である。

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Otto Zitko
Ohne Titel (gewidmet Martin Kippenberger), 2009
Leihgabe des Künstlers
Cortesy Galerie Elisabeth & Klaus Thoman, Innsbruck

Rieckhallenは細長い展示スペースが奥に続いていて、大型インスタレーションの展示には持って来いの作りになっている。ホール毎に大体ひとつの作品という贅沢な空間の使い方がされているので、とても気持ちが良い。

→2に続く

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by zaichik49 | 2009-09-17 23:42 | アート

Modell Bauhaus


今日はベルリンのMartin-Gropius-Bau(マーティン・グローピウス・バウ)で7月22日から10月4日まで行われているバウハウスの展覧会Modell Bauhausに足を運んだ。

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Unbekannt
Bauhausmeister auf dem Dach des Bauhauses in Dessau,
1926
anlässlich der Eröffnung am 5. Dezember 1926;
Personen von links:Josef Albers, Hinnerk Scheper, Georg Muche, László Moholy-Nagy, Herbert Bayer, Joost Schmidt, Walter Gropius, Marcel Breuer, Wassily Kandinsky, Paul Klee, Lyonel Feininger, Gunta Stölzl, Oskar Schlemmer
Bauhaus-Archiv Berlin/ Musée National d'Art Moderne/Centre Pompidou

今回の展覧会はバウハウス発足90周年、そして壁崩壊20周年を記念してベルリン・バウハウス・アーカイブ、デッサウ・バウハウス基金、ワイマール・クラシック基金といったドイツの主要なバウハウス収集及び研究所による900以上の展示物からなるこれまでに例を見ない規模となっている。それもあって、通常にはない混雑振りには驚かされた。これまでに既に9万人以上が展覧会に訪れているようだ。

さて、その展示内容だが18のテーマが設けられており、展示方法もとても分かりやすく、整理整頓された印象を受けた。バウハウスの理念や教授方法、建築、絵画、デザイン、家具、舞台演出など多岐にわたった展示内容でかなり見応えがある。

以下、展覧会のHPからいくつか紹介しておこう。

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Wassily Kandinsky
Untitled (from the portfolio for Walter Gropius on his birthday, 18th May 1924), 1924
Black ink, water colours and opaque colours
19.6 x 22.5 cm
Bauhaus-Archiv Berlin
© VG Bild-Kunst, Bonn 2009

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Ludwig Mies van der Rohe
Contribution ‘Wabe’ (honeycomb) to the idea competition for the skyscraper at the Bahnhof Friedrichstrasse, 1922
Large photograph, supplemented by drawing
140 x 100 cm
Bauhaus-Archiv Berlin
© VG Bild-Kunst, Bonn 2009

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Eugen Batz
The spatial effect of colours and forms, 1929/30
Tempera over graphite on black paper
30.2 x 32.9 cm
Bauhaus-Archiv Berlin
© VG Bild-Kunst, Bonn 2009

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Alfred Arndt
Colour plans for the exterior design of the Bauhaus Masters’ houses in Dessau, 1926
Black ink and tempera on drawing paper
66.2 x 46.7 cm
Cardboard backing 75.7 x 55.8 cm
Bauhaus-Archiv Berlin
© VG Bild-Kunst, Bonn 2009

展覧会のカタログは残念ながら作品そのものよりも読み込むタイプになっており、活字が多過ぎたため今回は購入を断念したが、また気が向いたら改めて購入してみようかと思う。

とにかく、現代でも十分通用するバウハウスの精神を堪能できる内容になっているので、是非。

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by zaichik49 | 2009-09-10 22:39 | アート

 「未完の論文」 / ボリス・ミハイロフ


ある雨の日曜日、特にすることもなく、アインシュタインというカフェに行った帰りに立ち寄った美術館のブックストアで、何度か目にしたことのあるウクライナのフォトグラファーの本が目に留まった。

それがボリス・ミハイロフの「未完の論文」(Unvollendete Dissertation)である。
半額以下になっていたこともあり、迷わず購入。ハンブルガーバーンホーフのブックストアは古いカタログや書籍、写真集などを値下げして販売しているコーナーがあるのがうれしい。

さて、今まで何度か展覧会で観たこの人の写真はきれい、とか魅力的、というよりもどちらかと言うと現実的でグロテスクな印象が強かった。しかし、この写真集には何の変哲もない日常を切り取った肩の凝らない写真が多く、その質感もノスタルジーを覚えさせられるものだった。

裏表紙にはこうある。

BORIS MICHAILOW、1938年にウクライナの*ハルキウ(ハリコフ)で生まれる。1984年に「未完の論文」の構想に着手。ソビエト連邦がまだ存在し、誰もゴルバチョフやペレストロイカについて聞いたこともなかった時代だ。ミハイロフは自分の故郷であるハルキウで日常を写真に撮り、誰かが書き始め、そして書き終えなかった論文の裏に写真を貼り、その周りにテキストを書き落とした。テキストは哲学、文学、学術的なものから、彼が道や家でふと耳に挟んだものを引用したものと、彼自身の秘密めいたそしてユーモア溢れた人生や写真、そして世界そのものに対する考えが結びつけられたものとなっている。


*ハルキウ(ハリコフ):キエフに次いでウクライナで2番目に大きな都市。ソビエト連邦においてもモスクワ、レニングラードに次ぐ第三の工業都市であった。

写真の質も論文の紙もソ連時代特有の古びたものだが、写真はどうやら自宅のトイレを暗室にして現像されたものらしく、その出来具合がまた何ともいえない味を出している。

こういうソ連時代の古びたかび臭さ、というものはなかなか西側ではお目にかかれない貴重なものである。
モスクワで95年に見たマッチ箱ひとつ取っても、質の悪い厚紙にこれまたインクの滲んだようなプリントが何とも言えない良さを出していて、何だかうれしくなったのを覚えている。西側のつるっとした感じがなく、ゴワゴワしていて完璧ではないところに惹かれてしまうのだから不思議なものだ。

「未完の美」?

それはともかく、写真集の中から何枚かを紹介しよう。


Es gibt keine Sehnsucht.
憧れはない。
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Es gibt keine Sehnsucht
nach der Hauptstraße, 
mehr noch - 
es gibt keine Hauptstraße.
メインストリートに憧れはない。
さらに言うと、
メインストリートは存在しない。
-------------------------------------------------

"Das Schöne bei anderen"
um mich herum ist nicht mehr neu,
dem etwas entgegenzusetzen,
ist noch langweiliger geworden.
「他人の芝は青い。」
私の周りには新しいものがない、
それに抵抗するのはもっと退屈になった。

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Und die Straßen sehen immer
öfter wie Kompositionen aus, die
keinelei Sinn haben.
そして道はかなり頻繁に
何の意味合いも持たない
コンポジションに見える。

-------------------------------------------------

Событие - "So-bytie" - "Mit-Sein"
出来事と存在の関係についてのテキスト

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今日も雨だったが、何をしてもうまくいかないというより
集中できない不甲斐ない一日であった。

トホホ。

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by zaichik49 | 2009-06-08 04:14 | アート

Kunsthalle ハンブルク/その2


前回はドイツロマン主義の画家、Otto Phillip Rungeについて「朝」という作品を中心に書いたが、今回はCasper David Friedrichについて触れてみようと思う。

Casper David Friedrichにとって「孤独」こそが創造の前提であった。
この画家の描き出す風景は彼自身の内なる感覚に従ったものだという。
Casper David Friedrichはそのことについてこう述べている。

Schliess dein leibliches Auge, damit du mit dem geistigen Auge zuerst siehst dein Bild. Dann foerdere zutage, was du im Dunkeln gesehen, dass es zurueckwirke auf andere von aussen nach innen.

君の肉眼を閉じよ、そうすることによって精神の目で君の絵を見る事が出来るように。
そして君が暗闇で見た物を明るみに出すのだ。それは他の者(絵を見る者)を外から内へと向かわせるだろう。


Friedrichはまた、風景画における新しい構成上の原理を持ち込んだ。彼は画面に平行な層を重ね、遠近感のある奥行きのある空間を避けた。逆に対称的な画面分割と縦と横の軸によって画面を強調したのである。
未完成のDas brennende Neubrandenburgには定規で引いた構成上のラインがはっきりと見て取れる。

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Casper David Friedrich 1774-1840
Das brennende Neubrandenburg / Neubrandenburg in Flames um 1834

個人的に彼の絵で一番印象に残っているのは、まさに「孤高の人」という印象を受ける次の作品である。

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Casper David Friedrich 1774-1840
Wanderer ueber dem Nebelmeer / Wanderer Overlooking the Sea of Fog um 1817

この絵の中で、人間は超越した自然景観の目撃者となる。背を向けた人物によって、 Friedrichは見る者を絵の中の人物に置き換えようとする。
旅人の視線は足を踏み入れる事の出来ない、永遠の空間へと開かれる。
孤独な人間と超自然との対面を Friedrichは山頂での体験、存在の危うさと死の予感に共鳴する考えと結びつけるのである。

どうも、この手の主題や独特の静けさといったものが、初めてこの絵を知った時に、自分の中のドイツのイメージとぴったり重なった記憶がある。

今回、初めて見た絵の中でも特に印象の強かったものはこちら。

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Casper David Friedrich 1774-1840
Das Eismeer / The Ice Sea, 1823/24

これは1819年から20年にかけてWilliam Edward Parryによる極地探検での事故をもとに、人類の破滅と自然の悲劇を描いたものだという。

そして最後にこちら。「月光の中の海岸」。

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Meeresufer im Mondschein, 1835/6

1815年以降、Friedrichは月明かりの風景と難破船のアレゴリーを多く描いており、この絵はその完成型と言える。彼が卒中の発作から回復した後に、最後に完成させることの出来た作品がこれに当たる。

絵の中の無の空間は極端に増え、薄明の中でほとんど見えない絵のモチーフ(人生と希望のシンボルである船と錨)がほぼ対称に何もない空間の中心に置かれている。そしてそこに、月明かりが途切れ途切れに落ちている。

現在、彼の絵画の中でも特に重要視されているこの絵は、描かれた当時は同時代人から「事実ではない」とか「美しくない」と多くの不評を買ったそうだ。

Friedrichはここで作品を対象から自由にし、表現の自律性にまで高めた極度に緊張感のある色彩作用、彩色に到達したのである。

ところで、この先週のハンブルク、ベルリンの零下二桁には及ばずの寒さだったが、エルベ川はすっかり凍っていた。

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本文:Jennes E. Howoldt: Der maler im Atlier@Hamburger Kunsthalle参照

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by zaichik49 | 2009-01-25 05:52 | アート

Kunsthalle ハンブルク/その1


今年の初仕事はハンブルクでの取材だった。
先にスイスでのロケを終えた取材チームとハンブルクで合流。
ところが、スイスの寒さのためかディレクター氏、カメラマンとも体調がかなり悪く2日目にダウン。
あいにく、その日はロケの予定がなかったためフリーということに。

まず、お昼にドイツ人の同僚とこれまでに行きそびれていたポルトガル料理のお店へ。
ポルトガルやスペイン料理のお店が集まっている港沿いにあるSagresというお店で、本場の味が楽しめ、しかもリーズナブル。

お腹も一杯になったので、去年帰国した際、東京で寺門さんと久しぶりにお会い出来た際に話題に上ったOtto Phillip RungeのDer Morgen(朝)を一目見ようと中央駅の並びにあるKunsthalleへ。

目指すは「19世紀絵画」。Otto Phillip RungeはCasper David Friedrichと並ぶ重要なドイツロマン主義の画家だそうだが、後者はベルリン美術館の旧美術館内で観た際に印象に残っていたものの、前者のOtto Phillip Rungeの絵画については全く知らなかったというのが正直なところ。

「ロマン主義」については以下、ウィキペディアからの抜粋をご参考までに。

主として18世紀末から19世紀にかけての運動であり、その影響はヨーロッパ全域に広まり、世紀末から20世紀の初めころの後期ロマン主義にまで及んだ。

ロマン主義の底流に流れているものは、内面性の重視、感情の尊重、想像性の開放といった特性であり、好まれる主題としては、「異国的なもの」「未知のもの」「隠れたもの」「はるかなるもの(特に、自分たちの文化の精神的な故郷、古代文化)」「神秘的なもの(言葉で語れないもの)」「夢と現実の混交」、更には、「憂鬱」「不安」「動揺」「苦悩」「自然愛」などを挙げることができる。


Casper David Friedrichが風景の画家だとすれば、Otto Phillip Rungeは人物描写、特に子供の肖像画が素晴らしい画家である。

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Otto Phillip Runge 1777-1810
Der Morgen (erste Fasung) 1808 / Morning (First Version) 1808

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Otto Phillip Runge 1777-1810
Der Morgen (zweite Fassung) 1808/09 / Morning (Second Version) 1808/09

第一印象としては宗教画のように見えたこと、そしてその色使いとディテールの素晴らしさである。ざっと経歴を読んだところ、この画家は初めて三次元の色彩の体系を作り出した人でもあるらしい。また、風景を巨大な神聖文字(ヒエログリフ)、つまり隠喩や象徴として描くという構想を生み出し、その作品化されたものが、たとえば、上の写真の「朝」についての二つの作品だということである。次の「愛の勝利」も気になった作品。

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Otto Phillip Runge 1777-1810
Triumph des Amor / Triumph of Love (Amor) 1801

ドイツの美術館・博物館のほとんどは一部特別展を除き、フラッシュを炊かなければ写真撮影が出来る所がほとんどで、それはこのKunsthalleでも同じだった。

さて、対する風景画家としてのCasper David Friedrichの作品も大きめの展示室で観る事ができた。特別展ではMax Ernstが1934年にパリで出版したコラージュ小説“Une semaine de bonté” (“A Week of Kindness”)を観る事ができた。最終日だったのでドイツの美術館にしては珍しく混んでいたが。

Casper David Friedrichについては次回に少し触れたいと思う。

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by zaichik49 | 2009-01-19 00:11 | アート

ロトチェンコのライン


カバコフのイマジネーション、タルコフスキーの色、などと並んで強烈な印象を受けたのが、アレクサンドル・ロトチェンコの写真だった。独特の構図とくっきりとした強いライン。中でも好きなのがバルコニーの写真とマヤコフスキーのポートレートである。

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© Estate of Alexander Rodchenko/VAGA

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© Estate of Alexander Rodchenko/VAGA

マヤコフスキーもその風貌や作品が魅力的な人物であるが、彼についてもいずれ触れようと思う。

こうしてみると、どうやらメリニコフの建築、ロトチェンコの写真など感性的にピンと来るものは「構成主義」がキーワードになっているらしい。

その「ロシア構成主義」はレイヨニスムやシュプレマティスムと並んでロシア・アヴァンギャルドに含まれる芸術理論のひとつであるようなので、「ロシア・アヴァンギャルド」をキーワードで検索すると、マヤコフスキー、メリニコフ、マレーヴィッチにロトチェンコとまさに気になるロシアの芸術家がヒットする。
さらには、スクリャービン、イワン・ヴィシネグラツキー、ショスタコーヴィチなど作曲家の名前さえあるではないか。

ロシア・アヴァンギャルドは、文学・芸術の様々な分野できわめて高度な実験を試みた、20世紀の重要な芸術運動のひとつであった。「社会革命は必然的に文化の激変を惹起する」という基本思想が存在した革命直後の時期には、アヴァンギャルドの多くの芸術家は、政治革命と切り結びながら、芸術の革命をめざした。
しかし、1920年代後半、ソヴィエト政権が大衆に対するプロパガンダを重視するようになると、それまでとは逆に弾圧を受けるようになる。そして、30年代、40年代に吹き荒れたスターリニズムの嵐と社会主義リアリズムのテーゼによって彼らの芸術は息の根を止められたのである。多くの芸術家が亡命する中、ソヴィエトに留まったマヤコフスキーは1930年にピストル自殺し、メイエルホリドは1940年スターリンの大粛清の犠牲となってモスクワの監獄で銃殺された。(以上、ヴィシネグラツキー四分音システムピアノのための作品集、ライナーノーツより)

ヴィシネグラツキーのCDはよくよく考えてみると、当時気になれば購入して読んでいたSTUDIO VOICEの「精神世界の旅、神秘主義の果て」という特集の中の神秘サウンドガイドを読んで、購入したものだった。日本にいた当時は(雑誌は1991年9月号)ロシアというより、どちらかというとアメリカの西海岸を中心に広がったビート(W・ヴァロウズやJ・ケルアックなど)に興味があったので手にした雑誌だったのだが、そこに西海岸、日本、ロシアが時代の変化を読み取る三大ポイントとして紹介されているのも面白い。

当時は意識していなかったのかもしれないが、いずれロシアに近づくことは避けて通れなかったのかも?などと、その雑誌をパラパラめくりながら思ったりもした。点として自分の中にインプットされてきたものが、何かの拍子で突然線で繋がり、きれいなラインを作ることがある、そんな感じだ。

目から鱗、と言えば大げさかもしれないが、ベルリンでロシア人と知り合ったことがきっかけでロシアの知的財産と再び出会えたのはとてもうれしいことである。

ドイツに住んでもう10年以上経つが、ここまで自分の感性にぴったりくるものがドイツそのものに見つかったかというと実はそうでもない。ただ、自分にとって東欧やロシアに地理的にも近いベルリンという街は住むには最適なのかもしれない。それにベルリンでは様々なアートに出会えるきっかけが転がっているのだ。

さて、ロトチェンコについて書くはずだったのに随分脱線してしまった。

ロトチェンコが妻のバーバラ・ステパーノヴァと写っている写真がある。彼女も芸術家であったが、感性の会う者同士の何とも羨ましい写真である。

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http://www.museum.ru/gmii/rod_1.htmより


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by zaichik49 | 2008-06-08 21:32 | アート

イリヤ・カバコフ


ロシア人で好きな芸術家を挙げろと言われて、まず思い浮かべるのがイリヤ・カバコフである。彼の作品に出会ったのも恐らくベルリンのある展覧会だと思うのだが、とにかくその独特の世界観と精密なそして同時に微笑ましくもある彼のドローイングやスケッチに惚れ込んでしまった。始めは何の予備知識もなしに、ただただ眺めて楽しんでいたものの、その作品の裏に潜んでいる物語が知りたくなり一冊の本を手に取ってみた。

それが、沼野充義編著「イリヤ・カバコフの芸術」である。この本にはカバコフの主要テクストがぎっしり詰まっており、ロシア文学者である沼野氏による書き下ろしカバコフ論なども併記されておりかなり読み応えがある。

以下、この本を参考にカバコフについて少しまとめてみよう。

ヴェネツィア・ビエンナーレを始め、ニューヨークを拠点として国際的に活躍しているイリヤ・カバコフ(1933-)は旧ソ連のドニエプロペトロフスク市(現在ウクライナ共和国領)で生まれた。ソ連文化の中心モスクワからは遠く隔たった地方都市である。

しかも彼が生まれたのは旧ソ連で広域にわたって猛威をふるった飢饉の直後のことだた。幼いカバコフは貧しい生活を強いられた。また、カバコフの両親はどちらもユダヤ人であった。ソ連の地方都市出身で、迫害される民族の血を引くという二重の意味で疎外された人間が、モスクワのスリコフ記念モスクワ芸術大学に見事入学を果たす。「イリヤ・カバコフ」というユダヤ人らしからぬ名前のために、入試委員会は彼の血筋に気付かずまともな評価をし、試験結果を公表してしまったというのだ。

また、ここまでイリヤを支えてきた母親は、どこまでも息子について行った。これはどこの町に住むためにも、定職を持ち居住許可証を必要とするソ連のシステムの中では、一筋縄ではいかないことだった。母親には正式の仕事も住む場所もなく、肩身の狭い生活を強いられる事になった。ある学校の備品置きになっていた「トイレ」に母親が住まざるを得ないことさえあったという。
a0087352_0275187.jpgこの体験は、後にカバコフが西側で公開するトイレのインスタレーションの基礎になった。左の写真が1992年にドイツのカッセルで行われた
documenta 9でのインスタレーションである。

現在は大規模な「トータルインスタレーション」で知られる現代作家だが、旧ソ連時代には「非公式」芸術家として活動する一方で、1950年代から共産主義体制の中で絵本画家として生活していた。彼のインスタレーションが「トータル」と呼ばれるのは、「展示空間のすべてが全面的に変容し、観客も通常の町や美術館の状態から締め出されて、観客のために作者が構築した特別な世界に入っていく」からだということになるだろう。また、カバコフの「トータル」(全体的)という言葉の使い方に、旧ソビエト時代の「全体主義」を連想させる何かがあるということだ。もちろんそれは基本的には全体主義的イデオロギーに対して皮肉的で嘲笑的なスタンスを取っているのだが、同時にそれはノスタルジックであり、それゆえアンヴィバレントな態度もここではまつわりついている。カバコフの「トータル・インスタレーション」は、ソビエト生活の空間全体を具現した、つまりは失われたソ連生活の巨大な「記憶装置」として捉える事も出来るからだ。

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入り口側から見た宮殿
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「プロジェクト宮殿」
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プロジェクト宮殿内、プロジェクト・ドローイング:Cloud Management
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プロジェクト宮殿内、プロジェクト・インスタレーション:Cloud Management

右下の写真は1995年にパリのポンピドゥー・センターで行われた彼の「We live here」と題されたインスタレーションである。現在形で「我々はここに住んでいる/生きる」とある。a0087352_058162.jpgカバコフにとって、過去の記憶の再現は彼が生きるために必要なものなのであろう。そこには、過去の辛い記憶とノスタルジアが混在しているに違いない。








最後に、本文からカバコフの言葉を引用しておこう。

 1917年の10月から始まった「ソ連の歴史」そのものが終わり、それはもう二度と戻ってこないものだという感じもはっきりとあった。永遠に続くものと思っていたものが、痛む古い腫れ物のように静かにはじけて外に流れ出た。
 この「ソ連時代」の始めから終わりまでをありのままに理解して、なんらかのかたちで写しとり、記述し、いわば「刻みつけて」おくことはきわめて重要なことだった。人類の歴史において後にも先にもこのようなことが繰り返されることはけっしてないからだ。だが、このソ連の歴史をひとつながりの発展過程としてヴィジュアルに提示するにはどうすればいいのか。


*沼野充義「イリヤ・カバコフの芸術」参照、あるいは一部抜粋。
*本文中の写真はイリヤ・カバコフのHPから

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by zaichik49 | 2008-03-03 02:44 | アート


ベルリン在住、ベルリナーによるモスクワ体験記も一段落。今後も気になるロシアや現在のベルリン生活の中で想うことをつらつら書いていこうと思います。


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2009年9月29日に長女を出産しました。タグの「妊娠」にて妊娠覚え書きをまとめてみましたので、また覗いて見てください。

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