ロシアでの年越し1999-2000(3)


この何にもなくてどこでもない場所に、彼らのモスクワの友人も年越しに来ているということらしく、雪の深い森の中を半時間ほど歩いて、別のダーチャに向かうことに。

ロシアの自然はワイルドだ。どこにも人の手など入ってはいない。
人が歩いて踏み固められたところにだけ道が出来ている。
雪が深いせいで、物音も全くしない。
歩く度にギシギシ言う足音のみを聞きながら、物も言わずにただただ歩いていると、何だか自分がどこにいるのかもわからなくなってくる。余りの寒さで色んな感覚が麻痺してくるような錯覚に襲われる。

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ロシアの森は色んな意味で深すぎるのだ。
ドイツに来たロシアの友人は「ドイツには本物の森がないね。」と言ったことがある。そして彼らはしきりに「シビリゼーション」と言う言葉を半ば皮肉めいて使っていた。

そしてここにはその「シビリゼーション」なんてかけらも見当たらないのだ。

隣人のいるダーチャまで歩いて30分以上。この村にはこんなふうに6軒くらいの小屋が存在し、そこに人が住んでいるらしい。いつかの夏のぼんやりとした記憶では、友人が食料品を買いに行くのにそれこそ歩いて往復2時間くらいかかっていたはずだ。夏ならまだしも、こんなに寒い中だと堪ったものではない。このような不便な場所に住んでいる人たちの生活は自給自足が基本である。

それはそうと、友人のいるダーチャはかなりの大所帯で子供もたくさん来ていた。
買い物に行く代わりに、そこで夕食をご馳走になる。

年越しのカウントダウンはキャンプファイヤーの周りで。
子供たちは仮装し、ぐでんぐでんに酔っている大人もそうでない人も揃って
はしゃいでいたのがとても自然で可笑しい。

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コンピューターが三つ並んだ0を解読できず、世界が混乱に陥っていたとしても
ここでは何も変わらないだろうな、そんなことを思わせるロシアでの年越しだった。

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続く

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# by zaichik49 | 2008-01-20 08:16 |

ロシアでの年越し1999-2000(2)


ジェイカのダーチャ。発電機が姿を消していたため、小屋の中の明かりはオイルランプひとつとロウソクのみ。
暖を得るためには薪が必要。お茶を飲むにも暖炉の火が必要。
そこで、一息つくために皆でもう一踏ん張り。
木を拾って薪割りの開始。
水は外にある井戸に張った氷を割って汲み上げる。

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ここでいつも不思議なのは普段モスクワではのーんびりゆーっくりな友人たちが、突然テキパキ働きだす事。とにかく皆こういうことをさせると、とても器用で手際が良いから驚きだ。ロシア人はダーチェを愛している。子供の頃から自然に身に付いていることなのだろう。サバイバル能力というものが彼らには自然に備わっている。

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こうして暖炉に火が焼べられ、小屋の中もようやく暖かくなってきた。
冷蔵庫もないが、戸外は零下25度ほどなので、小屋の倉庫に置いておけば冷蔵庫どころか、冷凍庫状態になる。

いつのまにやら、外で冷やされていたウォッカの瓶が机の上に。

「無事に着いてよかった!ウラーッ、乾杯!」

とにかく乾杯。何があっても乾杯。これがなきゃ始まらないらしい。
こんな風に始まった冬のプスコフ滞在だが、一日目から小屋の中で訳のわからないパフォーマンスが延々と繰り広げられたことは言うまでもない。

続く

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# by zaichik49 | 2008-01-09 00:18 |

ロシアでの年越し1999-2000(1)


97年の夏にモスクワからなぜかヒッチハイクと列車で24時間以上かけて行って以来、2度目のプスコフ行き。

「プスコフってそもそもどこ?」
「ベラルーシとの国境境だよ。」

と、余りよく分からない説明を受け、ただ単について行くのみ!と覚悟を決めるが、まさか24時間以上も移動するとは予想もしなかった1度目の旅。
ロシアは広大な国だが、同じ600キロの距離を移動するのに恐ろしく長い時間がかかる。それに加え、何台ものヒッチハイクをこれまた平気でトライし続けるロシア人の移動に対する感覚の差に愕然としたものだ。

今から思えばロシアにだって特急列車くらいはあるのだから、これも彼らなりの「ロシア風な旅」の心憎い演出だったのかもしれないが、当時はそんなことを知る術もない。

a0087352_4402495.jpgだが、今度は2度目なので少し状況が分かっている(つもり)。それにしても真冬の寒さの中、なぜ彼らがわざわざ苦労してプスコフまで行こうとするのかその意図がよくわからない。基本的にモスクワではとにかく分からない事だらけである。

「ジェーカがダーチャを持ってるからね。
夏のプスコフ良かったでしょ?冬も悪くないんだ。」

これまた、よく分からない説明を受けるが、確かにモスクワで年を越すよりは面白いんだろう。それに、ロシア人は自然をこよなく愛しているのだ。

プスコフまで列車にガタガタ揺られ、そこからボトビノという小屋が10軒くらいあるような村までヒッチハイクする。というより、それ以外に行きようがないのだ。真冬にはさすがに夏にしたように6〜7時間も寒くて歩けない。。。親切にも近くに住んでいるという青年に車で近くまで連れて行ってもらうことができた。別れ際に既に帰る手段の確保も忘れない。
帰る日にまた駅まで連れて行ってくれるように約束を取り付けて別れた。
(おーい、本当に来てくれるよね?)

冬のプスコフ。
そこは夏のそれとは別世界であった。凍てつく世界。
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「あれ、発電機が盗まれてるなー。困ったね。ま、ロウソクとランプがあるからいいか。」

こんな辺鄙なところでさえ、発電機を持っていかれるとは。これにはさすがに皆が呆れていた。なんと行っても1番近い小屋(ダーチャ)にたどり着くのに徒歩で約30分ほどかかるのである。

(とほほ、こんなところで遭難しても誰にも気付かれないよ。。。)

続く

*ダーチャ(дача:田舎の邸宅の意味)は、ロシア・旧ソ連圏で一般的な、都会居住者の別荘。かつての貴族の別邸から掘っ立て小屋のようなものまで、規模や質はさまざまである(以上ウィキペディアから抜粋)。
テキスト内では、どちらかと言えば「掘っ立て小屋のようなもの」を指す。

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# by zaichik49 | 2008-01-08 20:22 |


ベルリン在住、ベルリナーによるモスクワ体験記も一段落。今後も気になるロシアや現在のベルリン生活の中で想うことをつらつら書いていこうと思います。


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2009年9月29日に長女を出産しました。タグの「妊娠」にて妊娠覚え書きをまとめてみましたので、また覗いて見てください。

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