モスクワで就職!? その6


そして、とうとう初日を迎えてしまった。
外は余りにも寒いので、出来るだけ着込んで出発。クリニックまでの道のりだが、トベルスカヤ通りを少し北上するとПУШКИНСКАЯ/プシュキンスカヤというメトロの駅がある。まずそこから紫色のラインで二駅目のКИТАЙ-ГОРОД/キタイ・ゴーラッドでオレンジ色のラインに乗り換え、そこから三駅目のПРОСПЕКТ МИРА/プロスペクト・ミラで下車。(こちらをご参照のこと)地下鉄に乗っている時間はせいぜい15分くらいか。ただ、モスクワのメトロは途方もなく長くスピードの速いエレベーターで地下深くまでだだーっと降り、そこからさらに乗り換え駅に辿り着くために、地下道のようなところを延々と歩かなければならないので、そちらに時間を取られがちである。また、混雑具合は日本に近いものがあり、ベルリンから来たばかりだとまず、その人の多さに疲れてしまう。地下鉄の本数も多く、2分間隔くらいで電車が次々とホームに滑り込んでくる。電車が到着するまでの時間も秒刻みで電光表示板でちゃんと出ている。

ベルリンに比べるとモスクワの方が遥かに都会じみているのだ。

このモスクワのメトロだが、地下の駅構内はこれまた惚れ惚れするくらい立派で、駅によってはまるで美術館並みの美しさだ。ただ、通勤となるとそれを楽しむ余裕すらなく、時間に遅れないようただただ目的地に向かうのみである。

さて、無事にПРОСПЕКТ МИРА/プロスペクト・ミラに到着。ここからは少し歩かなければならないのだが、これがまた一苦労なのだ。冬のモスクワは道路が凍結するが、トベルスカヤ並みの目抜き通りでないと、凍結防止剤などを散布してくれない。ベルリンであれば、すぐにそういった処置が広範囲で効率良く行われるが、モスクワではそうはいかない。雪が積もれば積もりっぱなし、道路が凍れば凍りっぱなしというわけだ。仕事開始の時間には十分間に合うように家を出たつもりが、余りにも路上がツルツル滑るため焦れば焦るほど思う様に足が進まない。よくよく見ていると、派手に転んでいる地元民もいるようだから、危ないことこの上なしである。

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この最後の徒歩の部分でくたくたになって、ようやくクリニックの入り口まで辿り着く。まずは、入り口でコントロールがあり、ここで働いているというクリニックが発行する証明書がないと通してもらえない仕組みだ。病院を訪れる患者もビジターリストに氏名が記載されていない場合は、受付と確認を取り、許可が下りて初めて建物の中に入れるという仕組みになっている。こんなところからも治安の悪さが伺える。

今日は初日なので、証明書なしで受付に連絡し、ようやくクリニックに足を踏み入れることができた。病院にしてはずいぶん薄暗い正面入り口を入り、エレベーターで上へ。深呼吸をし、覚悟を決めてクリニックの中に足を踏み入れる。

「ズドラストヴィーチェ。ハロー。」

このクリニック、受付にいるのはロシア人女性ばかりだが、ドクターはロシア人は勿論のこと、フランス人、アメリカ人、インド人、カナダ人、イギリス人と国籍は様々なようだ。ドイツ人がいないのが残念だ。面接に立ち会ったアメリカ人のクリニックマネージャーに挨拶をし、受付のロシア人たちにも紹介され、防寒用の服を着替えてから受付に入る。

が、しかし。一日目はあくまでもオリエンテーションだろうと思いきや、特に詳しく教えてくれる様子がないのである。どうやら受付チームからは、余り歓迎されてはいないらしい。まあ、そこは開き直って自分から色々聞くしか手立てはなさそうである。それでも、ひとり日本語の上手なロシア人女性がいるので、彼女から情報を引き出すのが良さそうだと思ったのだが、「あなたはロシア語がどのくらい出来ますか?ああ、そうなんですか。それは大変になるでしょうね。」とまあ、最初からこんな具合である。

そしてさらに驚いたのは、彼女たちが平気でふいっと、どこかへ行ってしまうことだった。要するに受け付けに一人で放置され、電話が鳴り出すという恐ろしい状態に何度かなってしまったのだ。受付にいる以上、鳴っている電話を放置するわけにはいかないので止む無く電話に出ると、これまた受話器の向こう側ではロシア語のオンパレードがものすごい勢いで展開されており、こちらは初日なので全くのお手上げ状態。分からないものに対してどう処置するべきか。「XXクリニックの某です。少々お待ち下さい。今、お繋ぎ致します。」あるいは、「予約でしょうか?いつがよろしですか?」云々。初日なので、この程度のことしかまだ言えないし、油断していると「XX please.」といきなり流暢な英語使いが電話の向こうに登場したりもする。何度も言うが、初日なのでクリニックやアラームセンター内の誰がどこにいるのかなど、ほとんど把握出来ていないので、電話をエクステンションで繋ぐだけでも冷や汗もの。貰ったリストには30ほどのエクステンション番号が羅列されているが、そこから該当する人物を探すだけでも大変なのだ。初日なんですよ!!

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とまあ、予想以上に非協力的なロシア人同僚たちには呆れ返ったが、呆れ返る暇も無く何とかお昼の休憩時間まで漕ぎ着け、休憩室でホーッと一息(ため息)ついていたところ・・・
アメリカ人らしきドクターがふらっと入ってきてこう言うではないか。

「(ハーイ!ハウユードゥーイン?みたいなことがあり、、、)あのさ、さっきから思ってたんだけど、君が新しく入った日本人かい?何でまたここで働くことになったの?」

全うな質問であるが、いささか不躾でもある。

「(サンクス、ソーソーみたいな返事をしつつ、)そうです。実はベルリンに住んでいたんですが、偶然、モスクワ滞在中に面接に来る機会があって。働かないかと言われたので、じゃあそうしようかと。」

「えっ!ベルリンに住んでたんだ?何やってたの?学生??それにしても変わってるなぁ。あ、失礼。僕はモスクワの郊外にあるNASAで勤務してる某だけど、ここには週に2、3回のペースで入ってるんだ。」

「あ、そうなんですか。よろしくお願いします。」

初日だし、慣れないロシア語での電話対応で既に神経をすり減らしていたので、そのドクターの言う事など頭にほとんど入ってこなかったのだ。第一印象が重要なのに、愛想などとはかけ離れた感じである。とにかく、彼は多少なりとも興味を持ってくれたようだった。受付が戦場と化しそうなので、味方になってくれそうな人がいるに越した事はないのだ。

それにしても、どうなることやら。かなり先が思いやられる幕開けである。


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by zaichik49 | 2008-08-26 05:52 | モスクワ


ベルリン在住、ベルリナーによるモスクワ体験記も一段落。今後も気になるロシアや現在のベルリン生活の中で想うことをつらつら書いていこうと思います。


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2009年9月29日に長女を出産しました。タグの「妊娠」にて妊娠覚え書きをまとめてみましたので、また覗いて見てください。

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